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自分の足元の幸せには気づかず、「幸せは遠くにある」「幸せはどこかにある」と探し求めてしまうのが人間のようです。
メーテルリンクの『青い鳥』を知っているでしょう。チルチルとミチルの兄妹が夢の中で、過去や未来の国に幸せの青い鳥を探しに行きます。
どこの国にも青い鳥はいるのですが、鳥かごに入れて帰ろうとすると、すぐに死んでしまったり、青い色が灰色に変わってしまいます。
ところが、わが家に帰ってみると以前から家にいた鳥が青い色に変わっている……。幸せの青い鳥はわが家にいたのでした。
物語はここで終わり、幸せが自分の手の中にあると気づけば、いまのままでも幸せになれるということを教える話とされています。
ところが、じつはこれは本当のエンディングではありません。メーテルリンクの戯曲では、チルチルとミチルが幸福を見つけたと大喜びしていると、青い鳥はあっという間に空に飛び立ってしまいます。
幸福はすでに手の中にある。でも、その幸福も、大事にしなければ逃げていってしまうという教訓でしょう。
メーテルリンクが書きたかったのは、まさに人生の真実なのだと気づくと、深い感慨を覚えます。
「今日と同じ明日が来る」のを当たり前のように思って生きていませんか。誰にもそんな保障はありません。
一瞬の事故や予測できなかった災害によって命を奪われてしまうことも現実に起こります。
現在の幸せは次の瞬間にもあるわけではない。そう思うと、いまの幸せがどれほど大事なものか、身にしみます。
いつものように家族が顔を合わせ、食卓を囲み、テレビを見る。そうした小さな幸せを心からありがたいと思うこと。
そんな一瞬一瞬の幸せを大事にしなければ、気がついたときには幸福が逃げ去っていることもあるのではないでしょうか。
2023-09-02T23:05:54Z dg43tfdfdgfd