精神科医が教える、人生の真実。人は自分の足元の幸せには気づかないもの。今の幸せが一瞬であることを理解して、大切に過ごすべし

人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。

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「今日と同じ明日が来る」と思わない

自分の足元の幸せには気づかず、「幸せは遠くにある」「幸せはどこかにある」と探し求めてしまうのが人間のようです。

メーテルリンクの『青い鳥』を知っているでしょう。チルチルとミチルの兄妹が夢の中で、過去や未来の国に幸せの青い鳥を探しに行きます。

どこの国にも青い鳥はいるのですが、鳥かごに入れて帰ろうとすると、すぐに死んでしまったり、青い色が灰色に変わってしまいます。

ところが、わが家に帰ってみると以前から家にいた鳥が青い色に変わっている……。幸せの青い鳥はわが家にいたのでした。

物語はここで終わり、幸せが自分の手の中にあると気づけば、いまのままでも幸せになれるということを教える話とされています。

人生の真実

ところが、じつはこれは本当のエンディングではありません。メーテルリンクの戯曲では、チルチルとミチルが幸福を見つけたと大喜びしていると、青い鳥はあっという間に空に飛び立ってしまいます。

幸福はすでに手の中にある。でも、その幸福も、大事にしなければ逃げていってしまうという教訓でしょう。

メーテルリンクが書きたかったのは、まさに人生の真実なのだと気づくと、深い感慨を覚えます。

「今日と同じ明日が来る」のを当たり前のように思って生きていませんか。誰にもそんな保障はありません。

一瞬の事故や予測できなかった災害によって命を奪われてしまうことも現実に起こります。

一瞬一瞬の幸せを大事に

現在の幸せは次の瞬間にもあるわけではない。そう思うと、いまの幸せがどれほど大事なものか、身にしみます。

いつものように家族が顔を合わせ、食卓を囲み、テレビを見る。そうした小さな幸せを心からありがたいと思うこと。

そんな一瞬一瞬の幸せを大事にしなければ、気がついたときには幸福が逃げ去っていることもあるのではないでしょうか。

2023-09-02T23:05:54Z dg43tfdfdgfd